真宗大谷派 證大寺
永代供養墓で、無縁を“浄縁”に
昭和浄苑は先代が約30年前に開苑。森林公園が7千区画、船橋が4千区画の規模で、法事を営むための本堂や礼拝堂も備えている。しかしここ数年は、お墓の継承を放棄する人も増え、永代供養墓を求める声が大きくなっていた。今後のお墓のあり方を模索する中、NHKの「無縁社会」やAERAの「お墓が危ない」といった特集に危機感を深めた。「父は九州から出てきて真宗のお寺を建て、お墓を作ってご縁を結んできました。でも結果、墓を持っていることが負担になっている人がいる。そんなはずじゃなかったけれど。申し訳けなく感じた」と振り返る。僧侶として意識改革をしていくため、「なぜ永代供養墓を作るのか」を職員同士で徹底的に議論し、様々な勉強会にも参加した。当時は「終活」という言葉はなかったが、葬儀社や司法書士、遺品回収業者や保険会社等々が参加するセミナーが行われ、人生の終わりに向けての準備が進められていた。しかし、そこには僧侶の姿は少なく、「手続きが終われば済んでしまう」ような終活に違和感えお覚えた。
「準備を全てしても、拠り所がなければ辛いはずです。いのちの終わるまでの心構えを学ぶこと。安心していのちを終わっていける道というのを、先輩から伝えられてきました。それをもう一度取り戻したい。ちゃんと仏教を聞けば自然とできてくるはずです。」と井上住職。「終活は仏教の生老病死の中心であり、生死を超える道」。そんな思いで「仏教終活」をスタートさせた。年に1、2度の「終活バスツアー」、月に一度の両霊園での「仏教終活セミナー」を開き、僧侶の法話、終活カウンセラーによる講座、そして参加者同士が「墓友の縁」で語り合う。まだまだ模索しながらの活動で、参加者は40人の時もあれば5人の時もある。この取組みを支えるのが昭和浄苑で働くスタッフ。全職員が「終活カウンセラー」の資格を持ち、毎朝の勤行、月に一度の法座で、「自分たちの本願とは何か、本当の願いとは何か」を熱っぽく語り合うのだという。「最初は嫌がる人もいたけれど諦めてくれました(笑)。でも、僕の話じゃなく、2500年前からある仏教の話ですから。聞くことで必ず力が得られる」と、職員の意識改革にも仏教を活かす。